足のつり、筋肉の痛み<芍薬甘草湯>

足のつり、筋肉の痛み<芍薬甘草湯>

足のつり、筋肉の痛みに対する漢方薬

名前になっている芍薬と甘草の2味からなるシンプルな構成の処方です。使用される応用範囲は非常に広く、特に急激に起こる痙攣性の筋肉の痛みに対してよく効く特徴があります。芍薬甘草湯で用いられることも多いですが、様々な処方の中に組み込まれて用いられる重要な処方です。

<即効性の漢方薬>
漢方薬はゆっくり効くものだから長く飲まないといけない、治るのに時間がかかるというイメージを持っている方が多いですが、実は即効性の漢方薬がたくさんあります。特に構成生薬が少ない処方は比較的早く効く傾向にあります。芍薬甘草湯は2味から成る処方なので足のつりや筋肉が痙攣して急に起こった様々な痛みに対して即効性を期待して用いられます。漢方薬は基本的に空腹時での服用になりますが、飲んだ漢方薬が速やかに吸収されるためにも、特にこのような即効性を期待する処方は空腹時に飲むことを意識することが大切です。

<処方紹介>
芍薬と甘草の2味からなる即効性の漢方薬です。長く飲まないと効かないというイメージを持たれがちな漢方薬ですが、芍薬甘草湯は頓服での使用も多いです。甘草の甘みもあり、飲みやすいことも特徴です。いわゆる「ぎっくり腰」、運動後の筋肉疲労、運動中のこむら返りなどにもよく用いられます。骨格筋だけでなく、平滑筋の攣縮(れんしゅく)にも使用でき、消化管を始め「管」の痛みに用いることもあります。胃の痙攣や胆石症、尿管結石などの痛みにも用いられます。子供がよくなる緊張型の腹痛には小建中湯を用いますが、実はこの中にも芍薬甘草湯が含まれています。

<効能・効果>
急激におこる筋肉の痙攣を伴う痛み。

<処方解説>
芍薬は緊張を緩めて痛みを止める働きと、痙攣を鎮めて痛みを止める働きがあります。手足や胴体の骨格筋を始め、内臓の平滑筋に対しても鎮痙鎮痛作用があります。甘草は緊張と痙攣を緩めて痛みを止める働きがあります。甘草も骨格筋と平滑筋に作用します。芍薬と甘草はともに中枢神経系にも作用して鎮静効果があるといわれています。