微熱、寒気、頭痛、吐き気などのかぜの後期の症状、胃部の痛み<柴胡桂枝湯>

微熱、寒気、頭痛、吐き気などのかぜの後期の症状、胃部の痛み<柴胡桂枝湯>

微熱、寒気、頭痛、吐き気などのかぜの後期の症状、胃部の痛みに対する漢方薬

風邪のひき始めには葛根湯(かっこんとう)というイメージを持たれている方は多いと思いますが、風邪をひいて3~4日経過したときによく使われる処方はご存知ない方も多いかと思います。柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)は風邪の症状が治りきらない場合などに治し切る仕上げの処方として用いられることがあります。

<病気の進行と処方のタイミング>
漢方薬は使うタイミングがとても大切で、風邪をひいて何日も経過してから葛根湯を用いては遅すぎて効かない場合があります。漢方では病気の進行は身体の外部から内部へと進んでいくと考えます。初めは主に寒気や発熱、首や肩のコリという身体に熱がこもり始めることで生じる症状であり、葛根湯のような発汗剤で汗をかき、こもった熱を発散させて熱の流れを取り戻すことで治します。この時期に治療を逃すと、横隔膜(おうかくまく)の辺りまで不調が現れてきます。場所でいうと身体の表層(表)から内臓の奥(裏)までの間という半表半裏とたとえ、この時期には小柴胡湯(しょうさいことう)という処方の出番になります。しかし、病状は徐々に進んでいくため、そのちょうど両方の症状が重なっているタイミングが柴胡桂枝湯の出番になります。風邪の初期に用いる処方には葛根湯よりも発汗作用が優しい桂枝湯(けいしとう)という処方があります。柴胡桂枝湯はこの桂枝湯と小柴胡湯を合わせた中間の処方になります。

<処方紹介>
柴胡桂枝湯には柴胡(さいこ)、黄芩(おうごん)、半夏(はんげ)、人参(にんじん)、生姜(しょうきょう)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)から成ります。風邪以外でも胸脇苦満(きょうきょうくまん)という胸から脇の下などに及ぶ苦しい症状を伴って腹直筋が突っ張っている場合や、または胸やお腹が急に痛むという場合に用いられることもあります。

<効能・効果>
多くは腹痛を伴う胃腸炎。微熱、寒気、頭痛、吐き気などのある感冒。風邪の後期の症状。

<処方解説>
芍薬と甘草から成る芍薬甘草湯の処方を含み、平滑筋の痙攣から生じる腹痛を抑えます。柴胡と芍薬は疏肝解鬱(そかんげうつ)というイライラや憂鬱、怒り、ヒステリー、胸脇苦満などを治します。桂枝、甘草、大棗、半夏、人参によって不安な気持ちを和らげます。半夏、生姜は悪心嘔吐、咳を抑えます。柴胡と黄芩を含む処方は柴胡剤と呼ばれ、消炎解熱作用があります。