陳旧化した、長年の痛み<疎経活血湯>

陳旧化した、長年の痛み<疎経活血湯>

陳旧化した、長年の痛みに対する漢方薬

名前から効能が想像できる処方です。疎経とは滞った血の巡りを疎通させるという意味があります。活血とは血の巡りを促すことをいいます。血の不足、血虚を治す基本処方である四物湯がベースになっています。漢方では加減方としてベースとなる有名処方の漢方からそれぞれの症状に応じて処方を応用することが良くあります。疎経活血湯(そけいかっけつとう)は急性(急激に起こった症状)の場合よりも陳旧化、慢性化した痛みや運動障害に用いられることが多いです。

<痛みの原因>
漢方では不通則痛(ふつうそくつう)という言葉があります。漢字からも想像できると思いますが、意味としては通るべきものが通っていないと痛みが生じるということです。身体を健康に維持するものとして気血水(きけつすい)があり、これらのどれが滞っても痛みにつながる可能性があります。さらに何が滞るとどのような痛みになるかという特徴があります。気の巡りが滞ると張ったような痛みが起こり、痛む場所も移動することが多いです。血(けつ)の巡りが滞ると刺すような痛みや拍動する痛みが生じ、痛みの場所は小範囲で固定している場合が多いです。最後に水の巡りが滞った場合は重だるい痛みで、範囲は血の滞りの場合よりも広いですが、痛みの部位も固定しているという特徴があります。

<処方紹介>
疎経活血湯は芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)、川芎(せんきゅう)、当帰(とうき)、蒼朮(そうじゅつ)、桃仁(とうにん)、茯苓(ぶくりょう)、牛膝(ごしつ)、陳皮(ちんぴ)、防已(ぼうい)、防風(ぼうふう)、竜胆(りゅうたん)、甘草(かんぞう)、白芷(びゃくし)、生姜(しょうきょう)、威霊仙(いれいせん)、羌活(きょうかつ)から成ります。疎経活血湯は特に血と水の巡りの不調による痛みに効果が出る場合が多い処方です。

<効能・効果>
関節痛、腰痛、筋肉痛、神経痛

<処方解説>
当帰、川芎、芍薬、地黄の4つで四物湯の処方となり、麻痺やしびれ、運動障害、骨や筋肉の萎縮を治します。蒼朮、茯苓、防已はともに利水薬であり、水の巡りの滞りを治します。防風、白芷、威霊仙、羌活は皮膚の知覚麻痺や痛みを治します。牛膝は筋力の衰えを改善させます。疎経、すなわち滞った血を通す働きは桃仁と牛膝が担います。竜胆には炎症を抑え、熱を除く働きがあります。生姜、甘草、陳皮によって胃腸の働きを整えます。