飲みすぎ、むくみ、下痢など<五苓散>

飲みすぎ、むくみ、下痢など<五苓散>

飲みすぎ、むくみ、下痢などに対する漢方薬
水の巡りの基本処方として有名なのが五苓散です。即効性が期待できる処方なので二日酔いになった時やその予防としてお酒を飲むときに使用されることもあります。身体に余計な水が溜まって不調が起きている場合の最初の候補になる漢方薬です。日本では湿度が高いことから余計な水が身体に溜まり、不調を感じる方が非常に多いです。ここでは五苓散と水の巡りについて説明していきます。

<水の巡りについて>
水(すい)とは木火土金水という五行のひとつでもあり、冷たく、重い、そして低いところへ流れる性質があります。漢方の考えで大切な気血水(きけつすい)の水も同様の性質があるほか、身体に必要な血液以外の水分を意味しますので、リンパ液や組織液など広い意味があります。これらの特徴を踏まえると、水の巡りが悪くなって起こるトラブルをとらえやすくなります。例えば、身体が疲れるという場合も、一日の後半になってパワー不足からくる疲れなのか、身体が重だるいことで起こっている疲れなのか、これだけ見ても原因が異なります。水は重い、低い方に流れるという性質がありますので、重だるいという状態は水の巡りが悪く、余計な水が溜まっているということになります。

<処方紹介>
五苓散は桂皮(けいひ)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、猪苓(ちょれい)の5つの生薬から成ります。白朮ではなく蒼朮(そうじゅつ)を使う場合もあります。保険医療でも使用されることが多い処方のひとつですが、散剤という本来の剤形で使用することが望ましいです。エキス剤では製造過程で必要な成分を損なってしまうため、生薬を粉末にしただけの散剤での使用が効果的です。身体に溜まった余計な水や、偏って存在する水を水滞(すいたい)といいます。五苓散はこの水滞を除く最も基本的な処方で、痛みのある症状や下痢などの胃腸に溜まった水から起こる症状まで幅広く適応になります。実は脱水状態も水の巡りのトラブルであり、水分補給をしても良くならない場合は五苓散を用います。飲んでも飲んでも喉が渇く、下痢になる場合、腸管からきちんと水分を吸収できていない状態なので、五苓散を用いることでそれが整い、身体に潤いが取り戻されます。

<効能・効果>
胃部に水分停滞感あり、口渇し、尿量が減少するもの、また頭痛、 発熱、めまい、悪心、嘔吐、下痢、浮腫などを伴うもの。急性胃腸炎、胃拡張、船酔い病、急性慢性、腎炎、ネフローゼ症候群、急性膀胱炎、小児の下痢、糖尿病、てんかん、吐乳、暑気当り、 二日酔。

<処方解説>
桂皮は身体を温め、体表部の血流を促し、発汗を促すことで利水をサポートします。白朮と茯苓、沢瀉、猪苓は身体に溜まった余計な水(細胞の間や組織の間なども含む)を血管に戻し、尿として排泄します。